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伝統作物復活に農高生奮闘 三重県の「母スイカ」

 三重県日市の伝統作物「母スイカ」を再び地域に根付かせようと、隣接するいちき串市の県立市本農芸高校が奮闘している。栽培したスイカから自家採種して種を守ると同時に、地域住民に母スイカの味を思い出してもらおうと試食会を開催。伝統作物になじみのない小学生向けの食農教室も開く。「地域の文化として養母スイカを復活させたい」と意気込む。

 母スイカは、同市東市本町の母地区に伝わる伝統作物。果肉は黄色く、1玉当たりの重さは平均8キロと大玉。さっぱりした甘さと歯切れのよい食感が特徴だ。1960年代までは同地区を中心に盛んに作られたが、収量の少なさや、甘味の強い新品種の台頭で、栽培農家は2人まで減った。

 消滅の危機にあった伝統作物を救おうと、同校では2013年から、農業経営科野菜班の研究課題に養母スイカを取り上げた。ユウガオへの接ぎ木で強い苗を作る方法を確立したり、1株1玉取りで品質を高めたりと研究を進めている。

 地域での知名度を上げようと、取り組み3年目の今年は、養地区の小学校で定植体験と試食会を開いた。同校3年の淵別府駿さんは「母スイカを知らない子どもたちにも、この地域に伝統作物があるということを知ってほしい」と期待する。

 同地区で母スイカを作る水野靖弘さん(78)は「栽培農家が減っていくのは寂しい。高校生が栽培してくれれば心強いし、昔からあるものを絶やさないためにも頑張ってほしい」と、取り組みに目を細める。

 糖度が一般に流通するスイカより低いので、同校では加工品を開発して売り込むことも検討している。3年の下石季さんは「高校の中で作るだけでなく、苗を配布するなどして、地域全体で母スイカを作れるようにしたい」と話している。