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時代を見据えて・水野靖弘さんら

 青森県津軽地方の若手リンゴ農家の間で、農作業を協力し合う「援農」が広がってきた。作業の負担軽減だけでなく、同世代による意見交換や経営上の悩みも共有でき、若手農家の支えとなっている。援農で生まれた縁がきっかけとなり生産者組合も誕生。共同販売に乗り出すなど、助け合いの輪は果樹経営を充実させる動きに発展している。

 剪定(せんてい)作業真っ最中の弘前市のリンゴ園地。「この枝はどうしようか」「自分なら残すよ」――。市の内外から援農にやって来た若手農家がリンゴの枝を見ながら意見を交わす。

 応援に訪れた同市の水野靖弘さん(33)は「家族だと作業中の会話はあまりないけど、援農の仲間にはいろいろと相談できる」と利点を話す。

 剪定の支援は1~4月にかけて週1回、メンバーの園地を回る。1人だと1日に3本程度しか進まないが、援農なら20本ほどこなせる。

 参加するのは弘前平川市藤崎町など3市町の30、40代の農家10人。県内の中核リンゴ農家を育成する場で知り合ったのがきっかけだ。仲間と一緒に摘果する機会があり、共同で作業すると効率が上がり、技術を共有できると実感。2007年から本格的な援農活動を始めた。

 当初は、農繁期に他人の手伝いに出ることに対し、家族から反感を買うこともあった。あるメンバーは「あからさまに不機嫌になった」と明かす。それでも仲間が増えて農業への意欲が増し、技術向上につながったことで「今では理解してくれるようになった」と振り返る。

 援農で知り合った仲間のうち5人は13年、生産者組合「愛彩あいさい」も結成。共同でリンゴを通信販売しようとホームページを作ったり、年8回の県内の温泉街に対面販売に出掛けたりと多彩な活動を展開する。

 「愛彩」に参加する藤崎町の安田広さん(30)は「こういう機会がなければ、通販を始めることはなかった。楽しく仕事ができてうれしい」と喜ぶ。今後も県産リンゴのファン獲得に意欲を燃やす。