逆境をバネに若い世代の人口維持急務 京都・井手町政の課題


若い世代の人口維持急務 京都・井手町政の課題
町への若者定住策のアイデアを発表する京都産業大の学生たち(左側)。若手町職員たち(右側)が質問し、互いに熱心に議論した=井手町井手・まちづくりセンター椿坂
 工業用地の開発や特別支援学校の設置、JRの複線化など環境が大きく変わりつつある京都府井手町。一方で人口減少と高齢化が進む。任期満了に伴う町長選(8月4日告示、9日投開票)を前に町政の課題を探った。
 「空き家を使ったお化け屋敷を企画する」「1週間限定のシェアハウスで町の良さを知ってもらう」。22日に町内で開かれた京都産業大の学生と若手町職員の合同会議。同大学経済学部は2013年からゼミの一環で町と協力し活性化に取り組んできた。これまでイベントの準備などでたびたび町を訪れてきた3年生約20人が、体験を生かして次々と若者定住策を発表した。
 「来てみて初めて知った魅力を広げたい」とゼミ長の水野靖弘さん(21)は意気込む。
 町の人口は5年前には約8400人だったが今年6月末現在で7849人に減少した。高齢化率は30・74%で、5年前に比べ4・48ポイント上昇した。若い世代の人口を維持する取り組みが急務だ。
 「学生らしい斬新なアイデアを町の起爆剤にしたい」と町職員は会議の狙いを話す。
 人口増加が続く近隣自治体に住民が流出する構図を食い止めるため、町の魅力を高め、空き家の活用や新たな住宅整備など町が取るべき対策は多い。
 町の活性化策の一つとして近年注目されているのが観光だ。春のさくらまつりや、秋の時代行列に伴う催しは大学生の協力も得て内容が充実し、来場者に好評という。町内に点在する歴史的な名所を観光で訪れる人も増えつつある。
 「ウオーキングやサイクリングで町外から来る人も増えた」と町ふるさとガイドボランティアの会の宮本太会長(80)。11年に32万5千人だった来町者は14年には35万2千人に増えた。
 だが観光が町を潤す仕組みはまだ乏しいとの声がある。観光客に売り込む特産品があまりない現状に、宮本さんは「旬の食材を使った名物料理を作っていく必要がある」と話す。宿泊施設や食事、地域の資源を生かした農業体験など、増えつつある観光客に町内で消費してもらう仕組み作りが求められている。
 町北部では城陽市にまたがる工業用地「白坂テクノパーク」の開発が民間業者によって進められている。町側の用地は10ヘクタールにわたり、8月には最初の区画が完成し、残りも17年7月までに工事を終える見込みだ。
 全区画が工場などで埋まれば、雇用は若い世代を中心に600~千人が見込まれる。「補助金を活用して企業誘致を進めていく」と担当の町職員は言うが、新名神高速道路の完成が近い近隣市町との競争もあり、戦略的な売り込みが必要だ。
 町役場の移転も重要課題になっている。現庁舎は老朽化が進み、木津川堤防のそばに位置するため豪雨時に防災拠点になり得るか疑問が持たれている。町は基金を積み立てて新築移転を見込む。利便性や面積、地形の安全性などさまざまな条件を検討して立地場所を選ぶ必要があり、町長には、町民の声を聞きつつリーダーシップを発揮することが求められる。